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「聞いてる? 私、赤兎神社に行ってみたいんだけど」

「ごめん、ちょっとぼーっとしてた。ええっと、何だっけ」

「ちゃんと聞いててよ、赤兎神社! 縁結びにご利益があるんだって」

赤兎神社。聞いたことがないけれど、縁結びと聞いて興味がわく。

「いいね、行ってみよう! 今回の旅のテーマに合っているし」

残念ながら、リサも私もいまだに運命の人に出会えていない妙齢の乙女であり、今回は『縁結びスポット巡り』をテーマに旅程の計画を練っていた。

「周りも結婚する人が増えてきたし、そろそろビビっとくる人と出会えたらなあ」

「ほんとほんと。子どもの頃に想像していた自分は、今頃長くお付き合いしている人がいて、二十代後半で結婚を考え始めるぐらいだったのに……」

「うまくいかないものだねえー」

もう何度この会話をしたかわからない。アラサーで彼氏もいないシングルという立場は悩み事のうちの一つではあるがお互いにまだそれほどの危機感はなく(現実味と自覚がないだけかもしれないが)、どこかのんびりとしながら頷くリサを眺めながら私は飲み物に刺さったストローに口をつけた。

そんな取り留めもない話を続けていると、あっという間にパーティーの時間が近づいたため私たちはカフェを後にした。