【公企4病院と独法の神奈川循環器Cの比較結果】

(ア)会計収支は独法の方が100床当たり約2.5億円も良好

収益収支会計は公企4病院がすべて赤字で、100床当たり平均約2.2億円の赤字額に対して、独法の神奈川循環器Cは100床当たり約0.7億円の黒字であった。一方、資本収支会計は5病院すべて赤字で、同じく100床当たり公企は約1.5億円の赤字、神奈川循環器Cは約1.9億円の赤字であった。(添付資料A-2参照)

両会計を合計した100床当たりの収支は、公企平均が約3.7億円の赤字(平均病床数272床換算では約10.1億円の赤字)に対し、独法は約1.2億円の赤字(病床数239床で約2.8億円の赤字)となっており、約2.5億円も赤字額が少なく独法の方が良好な経営実績となっている。なお公企4病院の平均額の算出方法は、全体額が合計額/病院数により、100床当たりの額は全体平均額×100床/平均病床数により算出した。(以下同じ)

(イ)繰入金も独法の方が100床当たり約1.2億円少ない

両会計への繰入金額も、100床当たり公企平均約7.8億円(平均病床数272床換算で約21.2億円)に対し、独法は約6.6億円(病床数239床換算では約15.8億円)と公企より約1.2億円少なくなっている。

(ウ)公企の独法化による年度負担額の削減見込額は平均で約10.1億円

会計収支に繰入金額を加えた自治体の年度負担額は、100床当たり公企が約11.5億円(平均病床数272床で約31.3億円)に対し、独法は約7.8億円(病床数239床で約18.6億円)と独法の方が約3.7億円も少なくなっている。

従って、もし公企が独法化して神奈川県と同じ経営実績を残せば現行の約31.3億円は約21.2億円と少なくなり約10.1億円も自治体負担額は少なくできる可能性があるという試算結果となっており、明らかに独法の方が経営収支の改善、自治体負担額の軽減に有億円(病床数195床で約18.4億円)に対し、独法は約7.8億円(病床数239床で約18.6億円)と独法の方が約1.6億円少なくなっている。

従って、群馬心臓Cが独法化して神奈川循環器Cと同じ経営実績なら、現行の18.4億円は約15.2億円と少なくなり、約3.2億円の自治体負担額を削減できる可能性があるという試算となっており、独法化の有効性を証する結果となっている。(表1)

 
写真を拡大 表1:令和元年度/循環器系病院の地方自治体年度負担額比較表

(エ)純粋医業収支は独法の方が赤字額が多い純粋医業

収支の面では100床当たり群馬心臓Cが約2.8億円の赤字額に対し、神奈川循環器Cは約4.0億円の赤字であり、独法の方が約1.2億円赤字額が多くなっている。この要因は、群馬心臓Cの方が入院収益が非常に多いため一見公企の方が良好な経営実態と思ってしまうが、同病院には問題点も多いことを次に説明したい。(添付資料A-2参照)