「この男が売っ払ったっていう元彼か」不躾(ぶしつけ)な呟きに、反射的に言葉を被せる。「どうして戻ってきたの?」「君に頼まれたのは『ちょっと出てって』とそれだけだから、いつこの部屋に現れようと僕の勝手だろう」悪魔は掛橋くんから視線を逸らすことなく答えた。その声音はやっぱり面白がっている。「そもそも君の言葉に従う義務も、僕にはないんだし」「じゃあ最初からそう言ってよ」きちんと対応を考えられていれば、…
[連載]人生の切り売り
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小説『人生の切り売り』【第5回】亀山 真一
コンプレックスである大火傷の痕。悪魔は「大事に取っておいたんだ?」と冷たく言った
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小説『人生の切り売り』【第4回】亀山 真一
不意に彼が、こちらへ向かって手を伸ばした。冷たい指先が顎を捕まえ、そして唇に…。
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小説『人生の切り売り』【第3回】亀山 真一
独身アラサー女の私の部屋に、突然年下のイケメンが転がり込んできて…。
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小説『人生の切り売り』【第2回】亀山 真一
原稿を手に取ろうともしなかった女性編集者だったが、イケメンが一言頼むと状況は一変
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小説『人生の切り売り』【新連載】亀山 真一
「君の人生、僕が売ってあげようか?」小説家の前に現れた悪魔は…