この単語の認識には注意の転換の過程は必要なく(意味処理自体、言語的にもある幅をもっているため、その中に属する単語、関連語であれば、逆の耳からのものであってもその処理過程に自動的に入り込めるということと思います)、また意味プライミング効果もあると思われ処理が速いためにすぐに認識される(聞こえる)ということと思われます(同じような意味内容のものは認識が速いと考えられます)。

その後、その単語が逆の耳からのもので追唱する必要がないという認識がなされてから追唱が続行されるので、その分の時間がかかってしまうということと思われ、このため追唱に影響してしまうということと思います。

感覚情報保存によって聞こえのずれが生じると考えられる他の状況

また私の経験ですが、仕事中手を洗っていて、手に注意が向いている際に、近くで職員がやや大きな声で何か言ったのですが、はじめそちらに注意が向いていなくて何か言ってるな程度の認識だったわけですが、すぐ次の瞬間に注意を向けると、その声のはじめから(注意が向いていなかった最初の部分から)聞こえてきたということがありました。

これは、注意を向ける前のよく聞いていなかった部分が感覚情報保存の状態となっていて、注意を向けた瞬間に、保存されていたその声の内容がはじめから聞こえてきて理解できたというものと考えられ(しかも声としてやや大きめに感じました)、これによって最初から聞こえたような状態となったのです。このとき、その聞こえのわずかな遅れ、タイムラグに気付いたのですが、それはほんの200ミリ秒弱程度の遅れと思われました。

※1:参照記事『オーケストラの音はバラバラにならない?聴感覚の成立を解説!』