高福祉高負担で健全性を誇る

スウェーデンの紀行を書く前に、この国の問題点を記してみたい。スウェーデン天国論が、多くのマスコミを中心に幅をきかせている。

何が天国というかといえば例えば国際自然保護連合の健全性指数が六四・〇で、世界一(フィンランドが二位で六二・五、ノルウェーが三位で六二・五、日本が二十四位で五二・五、アメリカが二十七位で五二・〇)(小澤徳太郎『スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」』)。

そもそも若者が自国にもつ好感度がスウェーデンで七〇%、日本で三五%、

一つの現象をとりあげると、スウェーデンは五週間の有給休暇がとれるが、日本の中小企業にはありえない。若者にとり、何より休暇が欲しいのが判る。これはスウェーデンが好況であることを示す。その代わりスウェーデンは税金が高く(収入の七一%)、物価も高く、それでも国民は休暇の多い自国を愛している。そういう政府に任せている。

スウェーデンはナポレオン戦争のときにベルナドット王の尽力で永世中立国を勝ち取り、第一次大戦後、大失業時代の一九三二年に社民党政権が誕生し国民の総就業、更には有給休暇の増大まで踏み切った。

一九七二年六月、ストックホルムで第一回国連人間環境会議が開かれ、この地球上の有限の資源と環境を略奪的に利用しつくそうとする社会から、共生の社会への転換を告げる「人間環境宣言」が採択された。一九八七年の報告書で「持続可能な社会」という概念が認められた。これはスウェーデン市民の感覚と完全にマッチした。

それが本当ならば有名なストックホルム市庁舎を見学しようとしたら、女性ガイドが「前日庁舎の塔から二十八歳の人が身を投げました。今日は内部見学できません」と言ったのは不可解だ。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『21世紀の驚くべき海外旅行II』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。