数週間後、南房総の千倉に来た。

広大無辺の青海原、どこまでも高い大空、北東から潮風が吹く。朝一の波に乗ろうとすでに十人ほどがラインナップしていた。ショートボードを脇に抱えて、思いっきり駆けて海に入った。

ザブンッ、しぶきがあがる。煌々と照らす太陽に向かって前方の波を待つ。前方遠くにいた人が大きな波を掴まえた。いい波だ。次は行くぞ。うねりを上げて小高い波が近づいてくる。迷っている暇はない、今だ。

波がボードを押し上げて、ささっと板の上に立ち上がる。板と波の間の浮力に支えられて水の上をすべる。この波が続く限り、どこまでもどこまでものっていくんだ。

この大きな海が繰り広げる幾千もの波に向かっていく、俺は。ひるまず、たゆまず、全身全霊を込めて。そんな自分を高いところから何かが見守ってくれている気がした。すべる波の面が下から支えられている気がした。そのつながりをずっと感じていたかった。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『絆の海』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。