俳句・短歌 四季 2021.12.23 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第85回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 繁茂樹はんもじゆに桃源郷の思いする 楽園都市の無錫の市街 一雨ひとあめの湿った土に浮かぶ草 木きの葉も萌えてシャッキリと立つ 沿道の足下あしもとに咲く芝桜 人生照らす藤色の花
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『ぼくらの風船』 【第5回】 美山 よしの 僕が何か大きな壁を乗り越えたような達成感を感じていた矢先、あの事件は起こった おてがみありがとう。お父さんも、毎日大阪で仕事をがんばっています。まことも、アンサンブルのれん習をがんばっているのですね。つづけて三つも合かくをもらえて、えらかったですね。「ウィーンのおどり」がどういう曲かお父さんは知りませんが、タイトルを見ても、なんだかすごくむずかしそうな曲ですね。でも、むずかしいことにちょうせんしてがんばることは、とても大切なことだとお父さんは思います。何回も何回もまちがえ…