俳句・短歌 四季 2020.12.24 歌集「漣の夢」より3首【第1回】 歌集 漣の夢 【第1回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 此の時と春爛漫に咲く桜 友愛感じ涙伝わる 【二〇一二年】 桜色仄かに白い淡紅の 絶美を極めし癒しを呉れた 花盛り茎に着く花木にも花 各種書用自己を表現
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『ナーダ・サーガ 「無の国の物語」』 【第14回】 茂木 光春 何十個もの鉢植えの苗木には一本一本名前がついていて意味がわからず質問すると… ぼくは樽の中を覗いてみた。するとサンスクリット文字のごときもの、ハングル文字のごときもの、甲骨文字のごときもの、楔形(くさびがた)文字のごときもの、アラビヤ文字のごときものなどがうようよといて、泳ぎまくり、跳ね回っていたのである。そしてまた、楷書の魚もおり行書の魚もおり草書の魚もいた。さらに大文字の魚もいれば、小文字の魚もいれば、筆記体の魚もいれば、ブロック体の魚もいた。そして中にはそれらの合い…