GHフィリピンでは第一と第三土曜日または第二と第四土曜日のどちらかを交代で休むが、正嗣は第二、第四土曜日に休みをもらえた。

その日は四月の第四土曜日だったが、目が覚めると外は暗かった。二日酔いのためか、体中がだるく頭が重い。一瞬まだ朝じゃないのかと思ったが、時計を見ると七時を指しているではないか。

昨日は夜の一一時半頃帰ってきたから、零時に寝たとすると一九時間も眠っていたことになる。この一週間は気も張っていたので、自分でも分からぬ内に相当疲れが溜まっていたようだ。

今までこんなに長時間眠り続けていたなんてことはあったろうか。体がだるいのは眠り過ぎのせいかもしれない。外国の街に慣れるには、頭ではなく体で覚えなければならない。それはシカゴで実感したことだ。

フィリピンの首都マニラは周りの市や町を統合して、一大メガロポリスとなり〈メトロマニラ〉と称している。小学生の頃フィリピンの首都はケソンと習ったが、今ではケソン市はメトロマニラの一部となっている。

その広さを確かめるべく土曜休みにバスで散策しようと思っていたが、夜になるまで寝てしまったのだ。

その夜は近くの韓国料理屋で食事をした。そこの骨付きカルビはとてもうまく、豆腐チゲの辛さは二日酔いを吹っ飛ばした。

翌日の日曜日は朝早く目が覚めた。初めてマニラの街を一人で探検する。

ガブリエルが市内を回るならエアコン付のラブバス(ボディーは水色にペイントされピンクのハートマークが描かれている)が便利だと教えてくれたので、そのルートと料金を詳しく聞いておいた。

また、タクシーに乗るなら黒い車体の〈ゴールデンタクシー〉が安全だとのこと。

マニラのタクシードライバーの質は悪く、観光客と見るやメーターを落とさず、後で法外な料金を請求されるとか。

だから慣れるまでタクシーは敬遠した。

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『サンパギータの残り香』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。