交渉本番のシミュレーション

ここまで交渉相手の選定、交渉相手の分析、第三者の介入可能性、交渉完了のデッドラインの設定、交渉の落としどころの設定まで考えてきました。それぞれどれくらい綿密にやるかについてはケースバイケースで考えていけばよいと思います。ただ、これら各事項についての情報をある程度頭に入れたうえで交渉に臨むことが肝要です。

さて、ここまで情報が集まり分析もできたら、交渉に臨む直前には交渉がどういう展開をすることになるのか、いろいろ想像しながら交渉展開のシミュレーションを行うことをお勧めします。どこまで綿密にやるかは交渉の重要性や許容される時間などを勘案して判断頂ければいいと思います。

また交渉を行う人の交渉の経験値によっても違いがあり、当然経験値の高い人はそれほど綿密なシミュレーションはする必要がないでしょう。また、いざシミュレーションをしてみるとほぼ一つの展開が読めてくる場合と、複数の展開パターンをシミュレーションせざるを得ない場合と両方あるでしょう。

自分一人ではなくチームでの交渉となる場合は、チーム内で集まってホワイトボードに書き出しながらシミュレーションしておくと、より多くのパターンを網羅できるでしょう。ただ留意しておくべきなのは、いざ交渉が始まると得てして想定していなかった要因が出てくるものです。

その結果、シミュレーションしたパターン以外の展開になることも往々にしてあります。ただ、事前にシミュレーションしておくとそのような場合にも咄嗟に対応ができることが多くなります。シミュレーションしたパターンそのものではなくても、その応用で切り抜けられることがあるのです。

さて、ここまで準備ができれば、後は落ち着いて交渉本番に臨めばいいわけです。

交渉の場の設定ーコミュニケーションツールの使い分けー

現在のようにコミュニケーションツールが発達すると、どのツールを使って交渉の場を設定するのかが重要なファクターになってきます。直接会って交渉する場合(対面)は、相手の表情、目の動き、息遣い、言葉のトーンなどを目の当たりにしながら話ができますので、当たり前ですが最も情報量が多く交渉の場の設定の王道と言えなくもありません。

従来はその他の手段として電話、メール、SNSなどを活用して来ましたが、コロナ禍により急速にWEB会議が普及しました。さて、以前より部下がいろいろな交渉を行うのを観察していて、必ずしも的確なツールを選択していないことに気づき、その場でアドバイスしてきました。決して軽視してはならないファクターなのです。