「旨いと言ってくれる者を優先しなよ。芋虫さんやナメクジさんを責めてもしょうがないよ。旨いんだから」

「強い野菜って良いね。カラスさんは本当に賢いね。だけど強くなりすぎると不味くならないかい? 野草になっちゃうよ」

「大丈夫だ。野菜もその限度を知っている。それを見極めなよ。そうすれば収穫量も分かるだろ?」

「野菜本来の力を期待ですかね。わかった。やってみるよ」

いつのまにか、ぎんちゃんはいつもの笑顔に戻っています。

「ところで、カラスさんは白菜を食べないね。どうして?」

「水っぽい野菜は好きじゃない。キュウリの小さいものやトマトの甘いものは食べる。空豆が最高の味だね」

「贅沢だね。今度、味見をお願いするよ」

「嫌だよ! ぎんちゃんの目を盗んで野菜を食べるのが最高の味だからね」

カラスは自信満々でぎんちゃんの顔をのぞきこみます。ぎんちゃんはおかしくなってカラスに不満を言う気もありません。でも、自分がいっしょうけんめいにつくったトマトや空豆をカラスに食べられるのはやっぱり悔しい。だから言ってやりました。

「そのいたずら好きを止めなよ。そうすれば好きになれるんだけど!」

ぎんちゃんが言い終わらないうちに、カラスはパッと飛び立ってどこかへ行ってしまいました。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『ぎんちゃんの生きとし生けるものとの対話』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。