遺留分

(1)遺留分とは

遺言による手続きをする際は、手続きをする前に遺言と遺留分との関係について、しっかり理解しておく必要があります。

例えば、母親Aが長男Bにすべての財産を相続させる内容の遺言を残していた場合はどうなるか考えてみます。

相続人が長男Bだけで他に相続人がいない場合には何も問題ありません。しかし、他にも相続人がいる場合は話が変わります。他の相続人としては、自分にも遺産を相続する権利があると期待しているのが世の常でしょう。

そこで法律は、公平な相続を実現させるために、亡くなった人が自分の財産を処分することに一定の制限を設け、相続人が最低限相続することができる財産を保証しています。この最低限保証された財産のことを「遺留分」といいます。

遺言書が見つかっても、この遺留分よりも少ない財産しか取得できない相続人がいる内容になっていた場合には相続人間のトラブルが発生することが少なくありません。

■ワンポイント 遺留分

兄弟姉妹間の相続には遺留分はありません。相続人であれば必ず遺留分が保証されているわけではないので、困ったときは専門家に相談しましょう。

◆相談する専門家

・行政書士

・司法書士

・弁護士等

(2)遺留分を侵害されてしまった場合

法律で規定された遺留分の割合よりも相続できる財産が少なく設定されている等、遺言で自分の遺留分を侵害されてしまった相続人には、自分の遺留分を守る制度があります。

自分の遺留分を侵害されてしまった相続人は、遺留分を侵害する財産を取得した相続人に対して、自分の遺留分を請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。

(3)他の相続人の遺留分を侵害する財産を取得する場合

他の相続人の遺留分を侵害する財産を取得する遺言はどう扱えばいいのでしょうか。

法律では、他の相続人の遺留分を侵害する遺言は有効という扱いになっています。遺留分を侵害された他の相続人が自分の遺留分を主張する気がないという場合も多いです。手続き先の機関に対し、遺留分侵害額請求等がされていなければ、この遺言書の内容どおりに手続きをしてくれることになるでしょう。

しかし、あとになって遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性はゼロではないので注意してください。

遺言による遺言執行者の指定

「遺言執行者」とは、相続人の代理として、遺言の内容を実現するための手続きをする人のことです。遺言の内容として遺言執行者が定められていることは数多くあります。

遺言執行者が相続人以外の誰かに定められている場合でも、相続人が自分で手続きをすることができる場合もあります。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『相続について知りたいことが全部見つかる本』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。