相続手続きに必要な書類等

1.遺言とは何か

法律では、遺言者(亡くなった人)の死後の法律関係を定める最終意思の表示を遺言といいます。遺言書とはこの遺言を書面にしたものを指します。

遺言書と似た言葉に遺書があります。遺書とは、一般には死に直面した人が自分の死後のことを考えて、書き残した文書全般を指します。この遺書の中で一定の要件を満たしたものが遺言書になります。

主に亡くなった人の財産関係を対象に、遺言で実現可能なことについて解説します。

■ワンポイント 「遺言」の読み方

遺言は、一般的には「ゆいごん」と読まれますが、法律では「いごん」と読まれることが多いです。そのため、専門家に相談すると、「いごん」という言葉を耳にするかもしれません。「何のこと?」と思うこともあるでしょうが、「ゆいごん」も「いごん」も意味は同じです。

2.遺言でできること

法律では、遺言でできることを規定しています。できることの例は以下のとおりです。この他にも「こんなときどうしたらいいだろう?」と悩むことがあるかもしれません。そのようなとき、分からないことは遠慮せず専門家に相談してみてください。

■できることの例

・遺産を「誰に」「どのように」承継するか決めること

・祭祀(墓地・お墓・仏壇等)を引き継ぐ者を決めること

・信託を設定すること

・遺言執行者の指定をすること

・婚外子の認知をすること

・未成年後見人

・未成年後見監督人の指定をすること

・相続人の廃除に関すること等

3.法律上の遺言となるには

亡くなった人の意思をもう一度確認する方法はありません。そのため法律では、遺言が有効に成立し、効力を持つための様々な厳しい要件が定められています。

この要件を満たしていない遺言は、せっかく作成しても法的な効力を期待できません。実際のところ、遺言というものは一つとして同じものはないといっていいほど、それぞれに個性があります。

さらに、専門家でもどのように判断したらいいのか迷ってしまうような遺言も数多く存在します。遺言を残したいと考えた場合や遺言を発見した場合は、なるべく早い段階で専門家に相談することが無難です。

■相談する専門家

・行政書士

・司法書士

・弁護士等

4.遺言にはどんな種類があるのか?

遺言にはいくつかの種類がありますが、代表的なものは以下の3つです。

(1)自筆証書遺言

(2)公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

次の各項で、この3種類の遺言について解説します。

(1)自筆証書遺言

亡くなった人が自筆で書いた遺言書のことです。もっとも手軽に作成できますが、偽造・変造の危険性が高い遺言書といえます。また、法律上の要件を満たしていない場合、法律上は無効な遺言書となってしまいます。

たとえ法律上の要件を満たしていたとしても、遺言書の内容が不明瞭であったり、記載に間違い等がある場合には、手続き先の機関が希望どおりの手続きをしてくれない場合もあります。

自筆証書遺言は実務の現場ではよく目にしますが、実際に手続きに使用できないというケースが少なくありません。そのため、専門家に相談して作成するのが望ましい遺言といえます。

また、この自筆証書遺言がある場合は、原則として、裁判所による「検認」の手続きをしなければならないことになっているので注意が必要です。

■自筆証書遺言の特徴

・手続きに使えないことが珍しくない

・裁判所による検認手続きが必要

相談する専門家

・行政書士

・司法書士

・弁護士等

■ワンポイント 自筆証書遺言の要件緩和

平成31年1月13日以降に作成された自筆証書遺言については、財産目録等の記載について方式が緩和され、一定の要件を満たせばワープロ等を利用して財産目録を作成することが可能になりました。

(2)公正証書遺言

法律の定める手続きにより、証人2人以上の立会で「公証人」という専門家の関与のもと作成される遺言です。したがって、方式違反で無効になる恐れはまずありません。

また、遺言書の原本は公証役場に保管されるので、偽造されたり紛失してしまうという心配もありません。作成に手間と費用はかかりますが、自筆証書遺言とは異なり、自書ができない人でも作成が可能です。

また、裁判所による検認の手続きが不要というメリットがあります。非常に信頼性の高い遺言書といえるでしょう。公正証書遺言の正本や謄本については、通常、亡くなった人や相続人が所持していることが多いですが、その正本や謄本を使用して手続きをすることが可能です。

■公正証書遺言の特徴

・公証人が作成するので信頼性が高い

・裁判所による検認手続きが不要相談する専門家

・行政書士・司法書士・弁護士・公証人(公証役場)等

(3)秘密証書遺言

この遺言は、亡くなった人が、遺言の存在自体は明確にしたいがその内容については自分が生きている間は秘密にしておきたい場合に利用されます。

公正証書遺言と同様に、公証人の関与のもと作成されます。遺言書の存在は証明されていますが、遺言書の内容を本人以外が見ることはできません。

そのため、内容に不備があることもあり、注意が必要です。また、自筆証書遺言と同様、裁判所による検認の手続きが必要となります。この遺言書が利用されるケースはそう多くありません。

■秘密証書遺言の特徴

・公証人が作成に関与するが、内容の信頼性は高くない

・裁判所による検認手続きが必要相談する専門家

・行政書士・司法書士・弁護士・公証人(公証役場)等