BREAK THROUGH

果てしない喪失感の中で決してやってはいけないことは、この喪失感の中から抜け出すのを諦めてしまうことだ。立ち直り、前を向き、堂々と歩けるようになった自分をイメージすることが大切だ。その姿は大きければ大きい程いい。

かつて大きな穴に落ち、果てしない喪失感に襲われた時、私はイマジネーションによって救われて来た。ノートには完全復活した自分のイメージを書き綴り、そのような姿に少しでも近づける努力をする。何冊も本を読み、何冊ものノートに自分を励ます文章を書き、金を使ってでも自分を磨く。

この場合、金をケチってはいけない。自己投資は決して無駄にはならない。何もしないでそこから抜け出せるほど、その穴は浅くない。そして、必ず這い上がれると信じ続けることだ。

一種のトレーニングと似ているかもしれない。自分は必ずできるようになるのだと思い込まなければ上達しないのと同じだ。必ず光は差し込み、新しい自分になれるのだと信じるしかない。

こういう時、誰かに相談するかどうか。

もちろん、相談しないわけはない。だが、誰かが救ってくれるものでもない。そこから這い上がるには自分自身を鍛える以外に方法はないのだ。

喪失感というものは、前が見えない霧のようなものだ。思考能力も低下する。這い上がろうという意思が存在するうちは喪失感とも言えないかもしれない。

しかし、少しずつ霧が晴れてきた時に、今まであまりにも全てがぼやけていたのは喪失感のせいだったということに気が付く。気が付いたら、そこから抜け出そうという意思が生まれる。霧の中にいるうちは、何もかもがわからない。何もわからないというのはとてつもなく寂しいことだ。