結果的­に、「会社の思うつぼ」でしたが、その頃身に着けたノウハウで、その後のキャリアを構­築できたことを思うと、当時の職場には心より感謝しなければなりません。

­今度は、バブル真っ盛りの頃の話です。­当時は、新卒社員の基本給が、うなぎ上りで上昇していました(ちなみに、今の新卒の­初任給は、この頃に形成されたものです)。

そんなある日、本社から通達を受け取ること­になります。内容を要約すると、­ 

・新入社員の初任給相場が高騰している。­ 

・人材確保の観点から、新卒の基本給を上げざるを得ない。­ 

・それに伴い、ベテラン社員の基本給も上げる必要がある。­ 

・このペースでいくと、年功序列型の賃金体系が維持できなくなる。­ 

・そこで、○○年新卒入社組の基本給を1年間据え置くこととする。

といった感じでした。

早い話が、同期一同、給与据え置きの連絡です。­バブル真っ盛りの時代に、普通であれば、思いっきり上がってもおかしくないはずの給­料が、何と1年もの間据え置きになるとは、予想すらできませんでした。

年功序列型賃金­制度の弊害を、垣間見た瞬間です。­こちらも余談ですが、同じタイミングで、営業目標も、大幅に増えてしまいます。

ただ­でさえ高いと感じていた目標が、世の中のペースと連動するがごとく、底上げされました。­確かに、商品は凄まじい勢いで売れていましたが、その分、日々の業務も多忙を極めてい­ました。

「1枚の表彰状」が、唯一の救いだったと記憶しています。­バブル時代の思い出は、こと仕事に関しては、いいことばかりではありませんでした。

­今度は、課長職に昇格した時の話です。初めて手にした給与明細を、ワクワクしながら­開けてみました。すると、基本給が変わっていません。以前と同じで、当然のことながら­手取りにも変わりがありません。­

「これはどうしたことか」と調べてみると、「会社の制度上、昇格しても基本給は変わら­ないが、ボーナスがそれなりに増える」仕組みであることを知りました。

年功序列型の報酬制度の本質は、勤続年数にあるので、基本給もおのずと「職責ではな­く、勤続年数に依存する」というわけです。あらかじめ認識していればよかったのですが、­あいにく無関心だったため、ショックを受けたことを覚えています。­

こちらも、年功序列の「成せる業」というべきでしょうか。

しかし、いろいろな会社で、­様々な種類の人事制度を経験していくうちに、年功序列型も、あながち「否定できないと­ころがある」と気づくようになります。­