菊花賞

1993年11月の初旬から中旬にかけて、京都を中心とした西への旅へと出ました。

友人であるA君宅やホテルをベース・キャンプとし、京都、奈良、あるいは鳥取の大山山麓にも来訪しました。7泊8日にも及ぶ旅程は、私が体験した中でもかなりの長旅です。

夕方仕事を終え、ざっとシャワーを浴び、近所の寿司屋に頼んであった折り詰めを手に、新幹線に飛び乗りました。パチンコ屋ばかりが目立つ夜の東海道を駆け抜け、A家に辿り着いたのは夜の9時過ぎだったでしょうか。それからすぐにA君と連れ立ち、近所のスナックへと向かいました。彼の知り合いの店で、他にも彼の顔なじみが何人か集まっていました。

店内の話題は、2つに絞られた格好です。ひとつは翌日開催される菊花賞のこと。そしてもうひとつは、A家からほど近い商店街に出没した野生のイノシシのことでした。