北海道

ちょっとだけ北快道 二〇一七年八月

【第一日目】 珍重の夏

レンタカーを借りて最初の目的地・支笏湖(しこつこ)を目指す。

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空港から支笏湖までの雄大な森林地帯を道路が直線で貫いている。亜寒帯の原生林は太古の生命力に溢れ、雄大な自然が圧倒的な迫力で僕たちに押し寄せてくる。

道路の両側から、濃緑色の巨大な津波が押し寄せ、車を飲み込もうとしているような錯覚に運転中ずっと襲われる。北海道に来た実感がじわりと湧く。

途中、民家も無く、ましてやコンビニも無い。信号機が目的地手前に一箇所あるだけ。午後二時過ぎに、支笏湖に到着する。九州でもこれほど大きなカルデラ湖はない。対岸が見えず、はるか水平線を見渡せる。

「遊覧船乗り場へと急げ」と女房・息子たちを叱しっ咤たし、陸上短距離のオリンピック日本代表に選ばれるのではないかと思うくらいに走る。ゴールには、「本日、湖面が荒れているため、安全を考慮して欠航」との看板が。肩を落として湖岸に立つ。湖面から気持ちいい風が吹き渡り、小さざ波なみが立っている。

「ぶっ飛ばすぞ!この野郎!!」。

玄界灘より穏やかな状況で船が出せないだと。客の安全第一とは分かっているが、九州の露天風呂でも、これくらいの波は立っているぞ、と理不尽な怒りが込み上げる。仕方なく付近を散策して、家族写真を撮ったりして過ごす。

澄みきった湖水に感嘆。さすがにバイカル湖に匹敵する透明度を誇っているだけのことはあると言い切ってもロシアとの国際紛争には発展しないと思われる。湖面の清澄さと焼きトウモロコシに心も和らぐ。午後三時には、次の目的地を目指して出発。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『サラリーマン漫遊記 センチメートル・ジャーニー』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。