私の海に対する想いが醸成した原点は幼少の頃、磯遊びをした室蘭・噴火湾に臨む電信浜の今尚美しい海であり、そのような海を求め続けて来たからこそ綴った先著『島影を求めて』だったのではないかと思っている。

しかし、その書は商社マンとしてどうしても書き残しておきたかった米ソ冷戦時代の東西貿易、並びに今社業としている二つの事業開発の歴史をも記しているため海に集約されていない。

本書は海に集約し、自らの体験と本を読みまた聞き及んだ知識を元に、私なりの推察や想像を立てながら綴ったものである。

書こうと思った契機は二〇一九年三月、台湾の工場のチェン一家を熱海から程近い初島のクラブに招いて久しぶりに伊豆の海を眺めてからであり、半年で一気に書き終えた。

しかし、書くと言っても今の事業展開がさらに激しくなって前著同様、通勤電車に揺られながらの草稿であった事から私が読み、見聞きした記憶の定かでないところの検証、裏付けはしていない。

従って、本書は自らの海の体験以外はフィクションとしてお読み戴ければありがたい。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『海の道・海流』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。