「そうだといいんですけど」

「大丈夫だよ。じゃあまた明日」
そう言って僕は再び机に向かう。

「これ、今日のビデオですか?」
神谷君はなかなか帰ろうとせず質問してくる。

「うん。今日の手術は今日のうちに復習することにしているんだ。そうじゃないとどんどん溜まっていくからね」

「一緒に観させてもらってもいいですか?」
「いいよ」

本当は1人で復習をしたかったが、そう言われると断れない。仕方なく一緒にビデオを観ることにした。

「ここでこうすれば良かったんだよ」

後輩と一緒に観るからには解説もしないといけない。でもそうして話しながら観るのは悪くなかった。解説することが勉強になるし、ぼーっとする時間が減るため能率が上がるということも分かった。

「よし、終わった。ありがとう。良かったらまた一緒に観よう」
「はい、とても勉強になりました。またお願いします。ありがとうございました」

そう言うと神谷君は帰って行った。
僕は復習した内容をノートに書き留める。かわいい後輩ができたようで身が引き締まる思いだった。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『孤独な子ドクター』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。