インドではそうはいかない。政府が公用語・準公用語として認定し、お札に印刷されている文字だけでも、英語を入れて17種類もあるが、地方の言葉を入れると千にのぼるといわれている(インド大使館発表では844種類)。

大学卒業レベルになると、だいたい地元の言語・ヒンドゥー語・英語の3種類は最低話すことができるが、中学卒程度では地方言語だけで、ヒンドゥー語もろくに話せない。特にヒンドゥー語に反発しているチェンナイでタクシーに乗ったときには、タミール語か英語を話さなければ通じない。

コルカタにある会社内では、インド人同士が話す言葉はベンガル語などの地方の言葉だが、出身が違うインド人同士は英語で会話している。インド人は何ヵ国語話せると自慢するが、地元の言語、ヒンドゥー語、英語の他に、隣の州の言語を含めての数だ。隣の州の言語とは、日本で言う方言の問題ではなく、字も違う日本語と韓国語のような差になる。

[写真] 言語が書かれた100 ルピー紙幣 (提供:Lovely Planet)

⑦ 人種の違い

インド人を言語で、アーリア語族・ドラヴィタ語族などに区分するのが一般的のようだが、見た目でも違う。肌の色・眼・身長や体形から判断すると、デリー近郊の北西部は、中東系の血を感じるし、南部のチェンナイではアフリカ系、東部のコルカタでは東南アジア系、北部ダージリングではチベット系の血筋を感じる。

学者によれば4000年以上前から混血しているようだが、市内を歩くと違いに気がつく。見た目も違い、言語も異なるのがインド人だ。

インドを理解するには先ずはいろいろな階層があり、しかも複雑に絡み合っていることを認識しなければならない。