第四章 インドは一筋縄ではいかない

インドは衛生状態が悪く、観光客・出張者は必ず下痢止め・抗生物質を持参しろと言われるが、実態はどうだろうかとよく聞かれる。答えはイエスとなるが、問題は日本から持参する市販の薬では下痢は止まらないこと。

水や油に問題があるだけでなく、アメーバー赤痢やウィルス性の病気もある。ではインドの衛生観念とはどんな状況なのだろうか。

①路上はトイレ

日本では路上に犬・猫の糞が落ちているのは少なくなったが、インドでは犬、猫の他に牛の大きな糞が落ちている。そればかりではない、場所によっては人糞も落ちているから、道路を歩くときには下を見て歩く必要がある。

ガンジーがインド独立闘争に立ち上がる前、アフリカで生活しているときに、インド人の仲間が家の前や横で用を足しているのに気が付き改善しようと立ち上がった。インドに戻ってもガンジーが衛生改善を推進していたのは有名だが、残念ながらいまだに大きな効果が上がっているとは思えない。

インフラが整備されていないために発生する洪水と、それに付随する疫病などはやむを得ないとしても、各個人の衛生観念が低過ぎる。スラム街と言わなくても貧民の住む近くの道路では、毎朝子供が車道にお尻を向けてしゃがみ、朝の用を足しているのを目にする。

お尻の横には水を入れた空き缶があり、済んだ後この水を使って左手でお尻を洗うことになる。タオルを持っているわけではないので、洗った後は薄汚れた服で手とあそこを拭くのだろう。

キャディーでもラウンド中に催すと池の側の木陰にしゃがむ。見には行かなかったが、後は左手を使い池の水で洗っているのだろう。石鹸など持ち歩いているはずがないので、戻ってきた後にゴルフバッグを触られるのはかなりの抵抗があったが、じきに慣れてしまった。