まえがき

私(筆者・中嶋)は、2020年3月末をもって現役をリタイヤし、悠々自適の生活に入ることとなった。この時点で68歳の現役人生のゴールである。とはいうものの、人生の終焉までにはまだかなりの時日を残していることを承知している。

そこで、時計の針の進行にわずかながら抵抗しようと考えたのが、終活大冒険行の企画実行だ。これにはモデルがあり、我が医療分野の大先輩が70歳でリタイヤして故郷へ帰る際、ご自分のヨットで北海道の母港から日本海に出て、九州を回り、瀬戸内海を経由し、紀伊半島をかわして遠州灘を東進して、ついに沼津港まで廻航(かいこう)するという文字通りの終活大航海を数ヶ月がかりで、安全かつ壮烈にやり遂げられた。

これに刺激を受けた筆者は、我が終活大冒険行は何かと考えをめぐらしたところ、ふとこれまでにも幾度か経験のあるアメリカでキャンピングカーをレンタルして、大陸の横断と縦断を併せてやってみることの壮大さに思い至り、早速、準備を開始した。

先ず手始めに、メンバー公募のためのキャッチコピーの案出だ。これは案外簡単にひねり出せた。「気力・体力・知力を使い果たす前に、人生の終活大冒険行をしよう」というものだ。次にこのフレーズを使ってメンバーを新聞で公募した。結果、10名余のメンバーを得ることができた。

そこでメンバーとともに、月に1回の割で集まりワイワイやりながら、米国のいろんなことを学習して、コースも選定した。しかし問題はキャンピングカーの定員が1台当たり7名ということである。そこで、実施のためにはメンバーの選択が必然となる。