二 初めての団体ツアー、初めて会う人たち

しばらくは自由行動で、小腹を満たしたり空港内のショップを見て回ったりしながら、あっという間に搭乗の時間がやって来た。この時利用したのはJ航空の国際線。まだローマとミラノに直行便があった時だ。

今回は、行きはミラノで乗り継いでローマまで、帰りはミラノからの直行便を利用することになった。機内では座席の関係上祖母とIさんと話すだけだったが、初めて約半日もかけて移動することになる影響からか、私は機内で少々体調を崩してしまった。

私の顔色が悪いことに客室乗務員の女性の方が気付き、非常用ドアの前の空いている席に私を移動させ、少しでも楽になれるようにしてくださった。

それからしばらくはゆっくり機内で寛ぐことができ、私はいつの間にか眠りに落ちていた。ミラノ到着まで残り約四時間というところで私は目が覚めたが、その瞬間テーブルに置かれたあるものが目に飛び込んだ。それは、とても愛らしいJ航空オリジナルのカードとのど飴だった。

私はそのカードに非常に心惹かれて裏面を見たが、そこには客室乗務員さん直筆のメッセージが書かれていた。体調を気遣う文面で、のど飴をどうぞというメッセージ。このようなさりげない気遣いに、私はしばらく忘れていた人の温かさを感じた。

何年も経ってから調べたことだが、客室乗務員という仕事は想像以上の体力勝負で、日本から欧米方面へのフライトの場合、パイロット含めた乗務員は二、三時間しか仮眠ができないそうだ。

それでも疲れた表情を一切見せず、常に乗客一人ひとりのケアができる。今思い返しても、私に声をかけてくださった客室乗務員の方はプロ中のプロだったように思う(ちなみにそのJ航空特製カードは大事に持ち帰り、今も実家のスクラップブックにしまってある)。

そんな長時間のフライトもいつの間にか終わりを告げ、私たち一行を乗せた飛行機はミラノのM空港に到着した。それから約三時間半後にローマに到着してホテルに入るまでのことは慌ただしくて正直ほとんど覚えていないが、F空港から宿泊先のホテルまでバスで向かう時、ほっとした出来事があった。