それを聞くと彼は、「その発想はなかったわ。じゃあ、現地でな!」と言って笑った。そう言い、待っていたように彼の方から電話はすぐにプツンと切れた。

現地まで走って移動。

コンビニまで数十メートルになる頃には流石にもう破壊活動を起こしているのか、建築物を無造作に破壊する衝撃音が聞こえる。又それに対抗する様に部活動に励む幾らかの生徒の声があがり、中には携帯を耳に当てSPHに連絡しているものも見て取れる。

「(……くっそ! 何やってるんだ俺は! 皆は怖くて逃げて、SPHに通報して、その中で俺は野次馬として見学かよ……! 馬鹿にするのも、大概にしろよ……!!)」

自分のビビり症にムカついた。こんな時しか人の役に立てないのに、それを自らの意志でないがしろにするんじゃあ、やってられない。走って移動して憑依生命体の姿を捉える所までに近づいた。

コンビニは半壊しており既に店として成り立っていないが、幸いそこは大通りとなっていて学校以外に大きな建造物がなく、他に大きな倒壊等は起こっていない模様。

「……き、来た!!」

憑依生命体まであと数十メートルといった所で、利き腕につけたブレスレットが光りだす。立ち止まり、半ば緊張する様にそれを見やった。

「(これを使えば、またあの姿に成れるのか……?)」

そんな言葉が当たり前の様に頭に過(よぎ)る。どんな原理で何が発現のスイッチになっているのかも分からない。先日、偶然出来た事だ。これに頼る事は危ない橋を渡るようなもの。それを実際に感じたからこそ、院さんの会話の中で放った台詞が責任感という重みになって返ってくる。

初めて憑依生命体と戦う事の出来る体を手に入れた時の、その勝負にもなり得ない初試合が俺の闘気を抉ってくる。しかし、それでも今度は決定的に違うことがある。それは、今度は俺一人で戦うのではなく、院さんも駆けつけてくれることだ。

今は、彼を信じよう。それに相手は違えど負けたままでは終われない、汚名返上だ。

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