3 受容器官

① 視覚

ヒトは視覚的動物である

ヒトの得る情報の80%は視覚からといわれる。ヒトは視覚的動物である。ここでは視覚の優秀さをいくつかの点からみていく。それが、ヒトが眼と手で道具を扱い進化してきたこと、そして、コンピュータを操作する手段として、まずは眼と手が使われていることの背景を説明する。さらには、ヒトがまだ道具に与えていない眼の機能も見ていく。

視覚の歴史

光という情報媒体は、遠くまで届き高速に伝わる、という特徴を持つ。生物が光を感知できると、遠方まで、敵か味方か、餌を識別できる。生存に有利である。光は高速なので、どこに物があっても瞬時に把握できる。その意味で、ほかの感覚と比べ、距離に左右されない。

視覚が生物進化で決定的な役割を果たしたという物語が、生物史にある。太陽系が46億年前に誕生後、地球史の中に5億年前ごろにカンブリア紀という時代があった(p.31『図:生体の歴史』を参照)。その時代からいきなり化石が出始めたという。

英人生物学者のアンドリュー・パーカー(Andrew Parker、1967 ~)は、2003年、「光スイッチ説」を唱えた。カンブリア紀に登場した三葉虫は、眼を進化させた。その結果、食べ、食べられる、食物連鎖関係で優位に立った。それが、淘汰圧として、ほかの生物の多様な進化を促した、と[三谷宏治,2015]。

それまでは、化石になるような骨や外殻がない生物しか存在していなかった。視覚の登場が生存競争・選択淘汰を激烈にし、骨や外殻を備えたものなど、多様な生物が生まれたと。

生物の歴史の中で、高度な生物が繁栄する前に、眼が生まれた。生物の身体の原始的な機能の一つといってよい。

発生的にも、眼は中枢神経系(脳)の一部である。まず、原始的な生物は明暗識別ができた。ついで、明暗の方向視、形態視、動きの感知、色認識ができるようになった。そして、両眼視による遠近を含む探索・位置同定ができるようになった。

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