とある雪原の森林

???城内(王の間)

「グラストに続いて・・・・・・・ミウロスまでも・・・・・・やられるとは・・・・・・・・。」

玉座に座っているその老人からは、圧倒的な存在感が放たれていた。

まるで、何百年・・・・・何千年と・・・・・・途方もない時間が体に降り積もっているかのように・・・・・・・見たものすべてが平伏したくなるような・・・・・・・そんな魅力が・・・・・・老人には溢れていた。

「ワシが、あれほど近づくなと、言っておったのに・・・・・・・・愚かな。」

片手に持っていた杖で床を叩くと、老人はおもむろに立ち上がる。

「まぁ良い。」

不気味なローブをはためかせて、「あるもの」が飾られている方向へと、老人は歩き出した。

「あいつらは所詮、時間稼ぎにしかすぎない。」

「あるもの」の正面に立つと、老人は瞳を爛々と輝かせ、慈しむように「あるもの」を撫でた。

「これが完成するまでのな。」

そこに飾られていたのは・・・・・・・・・吐き気を催すほど汚らわしく、歪で、不快な、禍々しい黒い鎧だった。

王国(町の孤児院)

「シン様。ユウ様。また来てくださりありがとうございます。」

「いつでも来ますよ。この場所・・・・・僕、好きですから。」

「・・・・・・・・・・・・」

「シンも嫌いじゃないみたいですよ。あんまり人と話さないから・・・・・わからないかもしれないですけど・・・・・この場所が癒しになってるんです。」

「お前、いつ俺がそんなことを言っ・・・・・・。」

「まぁ! そうなのですか!」

シンとユウの2人は、ここの孤児院に足を運ぶことがたびたびあった。

生活をしているほとんどの子供達が、魔物によって、大切な居場所を奪われており、2人が責任を感じて訪れたのがきっかけである。

「嬉しいです! シン様が来ると、皆んなも喜びますから!」