奈良編

古き仏を訪ねて 2015年10月13日(火)~ 15日(木)

10月14日

聖徳太子ゆかりの地、斑鳩(いかるが)の里をレンタサイクルで法隆寺から中宮寺、さらに田園の法輪寺、法起寺と巡る。

法隆寺(ほうりゅうじ)

金堂、五重塔などが建ち並ぶ「西院」、夢殿がある「東院」とに分かれている。西院伽藍(がらん)は8世紀初めに再建されたというが、それでも世界最古の木造建造物である。

南大門(国宝)に駐輪し、開門して大分時間が経つのに閑散とした西院に入る。飛鳥時代の中門(国宝)は閉ざされ、今は出入口として使われていない。中門の左右に立つ日本最古の仁王像は必見である。

拝観入口から中に入れば右に金堂、左に五重塔、奥に大講堂が建つ。回廊がそれらを取り囲むように中門から始まり大講堂で終わっている。金堂、五重塔、大講堂、そして回廊も国宝である。

木造としては世界最古の五重塔には初層内陣の四方に塔本四面具(国宝)と呼ばれる塑像群が安置されている。やはり北面の釈迦入滅の場を表現した涅槃像土(ねはんぞうど) は圧巻であった。弟子たちの慟哭が聞こえてくるようだ。

修学旅行生の団体が入ってきた。急いで大講堂に入る。まだ大講堂は静かである。案内の人に促され後ろをふり返る。青空の下、金堂、五重塔が並び、近代的な建物はなく、これは平安の昔そのままの風景であるという。

大講堂には薬師三尊(薬師如来と脇侍日光菩薩・月光菩薩の三像)(国宝)を中心にして周りに四天王が並ぶ。エンタシスの柱の西回廊を端まで歩く。柱の木肌に触れ、木の温もりを感じる。

金堂には釈迦三尊(釈迦如来と脇侍文殊菩薩・普賢菩薩の三像)(国宝)を中尊にして薬師如来(国宝)、阿弥陀如来が並び、周りを四天王(国宝)が取り囲む。日本最古の四天王に忿怒(ふんぬ)の表情はなく邪鬼の上に静かに立つ。四天王に多聞天(たもんてん)が欠けているが、案内の人の話では先日、九州の博物館に発たれたという。

静寂も束の間であった。修学旅行の団体はさらに増え、大講堂拝観のため西回廊に、また涅槃群像の五重塔北面にも行列ができ、中門前には待機する団体が座っている。次の大宝蔵院に向かうため東の回廊を抜けて外へ出る。

大宝蔵院(百済観音堂)は寺宝の大半が収蔵され博物館のようである。

主だったものを挙げると、観音菩薩像(夢違観音)(国宝)、吉祥天像、玉虫厨子(国宝)、観音菩薩像(百済観音)(国宝)、伝 橘夫人念持仏・阿弥陀三尊(阿弥陀如来と脇侍観音菩薩・勢至菩薩の三像)(国宝)。

東大門を抜け、東院に向かう。

夢殿(国宝)は聖徳太子が飛鳥から移り住んだ斑鳩宮跡に建てられた奈良時代の八角円堂。鎌倉時代に大修理が行われ、屋根の形状は鎌倉時代のものという。

太子の等身像と伝えられる救世観音(国宝)は、春秋の一定期間しか開扉(かいひ)されない秘仏である。夢殿を出、東院鐘楼(国宝)を見て、法隆寺に隣接した中宮寺に向かう。