第三楽章 ときを超えて

Ⅲ ときを超えて

その後のアヤと太蔵のふたりは、どうなったのでしょう。またもや、来世での再会が待っていたようです。

え? また家族ごっこを体験するの? 職場とかで大バトルとか、師弟関係を築いて世界進出とか、たまには派手な人生というのも面白そうじゃないかと思いますが……。

どうやらまた、新しい家族としてのやり直しのようです。身近な家族の中での人間関係が、魂を成長させるには手っ取り早いということなのかもしれませんね。

アヤは再び母親として、ふたりの息子を授かりました。ひとりは太蔵です。けれども、息子として生まれた太蔵は、先天的な障がいを伴っていました。そのため、家族全員が支え合い、お互いに成長していく過程を繰り広げていくようです。笑いの絶えない、底抜けに明るい家庭になっていました。

母は強し、女は強し、とはよく言われます。子どものためなら、なんだってできてしまう母親。やってのけてしまいます。たとえ疲れていても、涙を流すことがあっても、笑顔でごまかすこともへっちゃらです。

でも、実は子どもたちには、悟られているみたいですね。親のことをよく見ているのです。敏感だけではないようです。どっちが親?って、子どもを育てることで、きっと親のほうが成長させてもらっているのかもしれません。

なんたって、子どもは天才であり、純粋そのもので、まばゆいばかりに輝いて見えませんか。とってもパワフルな存在だと思いませんか。

息子として生まれた太蔵は、ひとりで立つことも歩くこともできませんでした。口から出る言葉は音だけでした。けれども、表情は豊かで、誰からも愛されるキャラを持っていました。

そんな太蔵の下に、弟が生まれます。母のことも兄のことも助ける助っ人としての役割を、見事なまでにこなしてくれていました。親も子も、どの命も、まるで太陽のようです。

それぞれが自分にできることを、ただ精いっぱいやりきって、たくさん笑って、そのひとときを味わっている。歯車がピタッと合わさっていて、いろんなことがスムーズに流れていく。お互いを認め、尊重できる関係性が心地よく、幸せな毎日に感謝する日々でした。

失敗なんてどこにもありません。起きた事実があるだけです。楽しむのか、苦しむのか、それを決められるのは、他でもない自分自身ではないでしょうか。