我輩は清掃人じゃ

※作者注

本作品では、小児麻痺の男性が主人公として登場いたします。現在、当症状を患っていらっしゃる方、過去に患ったご経験のある方、ご家族の方、ご関係者の方々には、不快になられたり、コメディーとして小説の題材に扱うなど、もっての外とおっしゃるかもしれません。ですが、作品を最後まで読んでいただければ、こういった症状や患者様を意図的に揶揄しているわけではないことに安堵されることと思います。そして、乗り越えるという本作品最大のテーマにお気づきになっていただければ幸いです。

1.登場と過去

我輩の名前は、大人輝男。

「おとなてるお」ではなく、「おとながかがやくおとこ」と書いて、「おおひと・てるお」と読むのじゃ。元気いっぱいな五十歳、アラフィフじゃ。

それにしても、我輩は就職して、働きたかった。人間は誰でも、働くことはいいことじゃ。国民の当然の義務だからじゃ。中学生頃に習ったじゃろ。労働して賃金が発生しなければ、収入がない。それでは、食っていけん。生活していけんのじゃ。じゃからの、懸命な努力っちゅうもんは、諦めることなく、前進する道具として、ふところ奥深く持っていることが、必要不可欠なのじゃな、これが。

聞いとくれや。思えば半年前にも年月が逆流してしまってな、記憶が遠くへぶっ飛んでしまいそうじゃが、我輩が最も愛した母ちゃんがの、あまりにも不憫な表情を浮かべながら、潰れた寝床のなかで、

「輝男の両足に不具合を作ってしまったのは私の責任だ。悪かったね。お母さんを許してちょうだいね。ごめんなさいね」と目の前で泣きながら、亡くなってしもうたのじゃ。

お気づきではないじゃろうから申し上げるが、我輩は小児麻痺で、まともに歩けん。ひょこひょこと足元に注意喚起しながら、転ばぬように進むしかないのじゃ。チャリンコなければコンビニでさえ行けん。