私を雇ってくれたのはハーヴェイ・ウィットモアというネバダ州で最も権力を持つと言われた人物だった。彼は、当時上院の多数派リーダーであった上院議員ハリー・リードの選挙違反に関係して、その後18ヶ月の懲役刑に処せられた。一度は私の親しい友人であったこれらの人たちは私と何百万人の人々を裏切ったのだった。

私は彼らの言いなりになることは道徳的ではなく、しかも違法なことだと考えたので、それを拒否した。そして、そのまま泣き寝入りしなかった。私たちの研究結果、しばらくの間ともった希望の灯りを消さないように、恐ろしい病に罹り忘れ去られた人々のために、私は怒りを持って立ち上がった。

ネバダプレートを付けた白いピックアップトラックが私を追い抜き、自転車レーンに停車した。

その車の横を通過するとき、その運転手が携帯を手にして私の写真を撮ろうとしているのに気づいた。髭づらで、その野球帽から茶色の髪の毛がでており、サングラスをかけ日焼けした気味の悪い雰囲気の大男だった。後部の窓あたりにライフルが置かれているのが見えた。その後私を後ろから追跡し、追い越し、前で停車して私に追い越させ、また追い越すということを何度か繰り返し、私が通りを横断して反対方向へ向かうと、その男は去って行った。

ヨットクラブにたどり着き、「とっても変なことがあったの。その男はただ後をついてくるのよ」とこの話をした。

「バカね」と友人は言った。

「あなた行方不明にされちゃうよ。その男の仕事はあなたを確認して、拉致し、自転車は砂丘に捨てて、あなたの携帯は海に投げ捨てるわけよ。そしてさ、あなたの死体が発見されたとしなさい。きっとマウス白血病ウイルスの研究に行き詰まって自殺したんだといわれるだけよ。だからお願いだから、もう二度と自転車なんか乗らないで。そんなことしたら生かしておかないわ。私が家まで送ってあげるから。今後はそんな連中に一人でいるところを見つけられるようなことはしないで」

彼女が言い張ったので、私は言うことを聞いたが、自分自身が人から危害を加えられる状態にあることが分かっていないという欠点に気づかされた。

【前回の記事を読む】「たとえ真実が闇に包まれても、科学が真実を語り、答えを見つけ出す」ー私が本書を書く理由