成長という木

さらに

「親が医者でさ、医大付属の中学受験に失敗して、他の私立の中学行ったけど、いじめにあって、不登校」

だと聞いて、「まさか」と、気持ちが軽くなりそうな情報に耳を疑った。

「だからあいつ、誰も知り合いのいないこんな田舎の高校に通ってんだって」

「はあー」

それ以上何か感想をいう事はない。

純太がいじめを仕掛けられている時、時々見せるあの白けた目つきは、中学時代に受けたいじめを思い出していたからか。それにしても野島に言われるまでもなく、何とも情けない自分の姿が思い出されてやりきれなかった。

「何でなんだ」

何で、純太は繰り返し言った。

「何で俺なんだ」

「知るか、そんな事。お前の事が気に食わないって事だろ。だけどアキラ、学年トップだってよ、この間の学力テストの成績」

と言ってから「お前も運が悪いよな。あいつに睨まれなきゃ楽にトップ狙えたのにな」と言った。

純太は入学してすぐの学力検査でトップだった。今では成績が下がっている事は分かっている。今は何もやる気が起こらない。塾にも行っていないからと言い訳はしない。だったら塾に行きなさいと親に言われるからだ。

野島の後ろ姿を目で追いながら、軽いため息をついた。純太は確かに自分の運の悪さを認めていた。