転校についてもアメリカとの違いを紹介しよう。日本の高校では例外的には転校ができる場合がある様だが、稀な例だと思う。そして大学の場合は転校を行った例は残念ながら聞いた事がない。帰国子女が海外の大学から編入すると云った仕組みはある様だが、国内の大学に通っていた学生が他の大学に転校する事はほぼ不可能の様だ。

そのため、通常は一旦大学を退学し、受験しなおして1年生から始める事になる。アメリカの大学では、転校前の大学で受講したクラスの単位を移行できるため、1年から始める必要はなく、学生にとって大変有難い仕組みである。同じ学部・学科であっても大学によっては履修すべき科目が若干違うので、転校先で認められない単位も若干あるが、微々たるモノである。

転校する理由が人それぞれであろう。よりレベルの高い大学での勉強を望む場合や、またはその逆もあり得る。また大学進学当時は自分が勉強したいモノが判らなかったが、それが明確になった場合に自分が勉強したい学部学科がその大学に無い場合もある。勉強したい学生には門戸は開いている。

但し、勉強しなければ退学させられる。入学は簡単だが、卒業は難しいと云われるのがアメリカの大学である。但し、一部のトップレベルの大学は、志願者に対する厳しい選別をし始めており、それらの大学では卒業率もかなり高くなってきているが、教育の質もより一層上がっていると思われる。日本の大学も多少はそうあって欲しい。

06 理工系学部の授業料優遇と初任給の待遇改善

21世紀になって世界を見渡すと、ある程度以上の規模の人口を抱える国で、経済が安定している国家は、ほぼ全て製造業が強い国家である。勿論、石油産出国は除いての話である。

ドイツ、日本、ちょっと落ちるがアメリカ、そして台湾と韓国。また中国は世界の工場となって急激な発展を続けている。ヨーロッパのフランスや特にイタリアの製造業はドイツとの競争に負け、貨幣がユーロに統一されてからは明らかに凋落している。一方稀有な存在としてスイスがあるが、この国にはグローバル企業が集中している。金融関連の企業も多いが、製造業関連も沢山ある。

その他のヨーロッパの国々では東欧や北欧が少し頑張っているが、国家規模が小さいので存在感は低い。強いて云えば、スェーデンに有名な製造関連の企業が目立っている程度である。

東南アジアでは昔からタイでは製造業が集積していて、ジワジワとGDPが上昇し続けている。マレーシアも同様に製造業が集まり、経済が伸びている。そして最近はインドネシアとフィリピンがこれらの国々を追っ掛け始めている。

これらの事象から、経済の成熟度に関係無く、製造業がその国の経済を支えていると言える。もしこの“製造業がその国の経済を支えていると思える”と云う推測が正しければ、国家として製造業、そして製造に関係する大学の学部を優遇した方が良い。

【前回の記事を読む】共通テストは3回やるべき!? 1月、2月も「絶対に避けるべき季節」