一時期、国からの指導もあり地方の小規模自治体で私立大学の設立が多く見受けられたが、それらの殆どが失敗した。地方の小都市での私立大学は若者にとって魅力が低く、定員割れが続いている大学も少なからず有る。そしてその中の一部の大学では、大量の留学生を入学させる事で経営を成り立たせている所も有る。

留学生を取り込み、存続している大学はまだ良い方で、廃校になった大学も少なからず有ると聞く。その解決策として、近年はそれら地方の新しい大学の公立化が進んでいる。そして公立になった途端に生徒が集まり、大学として存続できる様になっている。当然、偏差値も上がっている。

因みにアメリカでは成績の決して良くない生徒でも行ける公立の大学は沢山ある。アメリカには偏差値と云った評価基準は無いが、敢えて当てはめるなら、偏差値50以下の公立大学は沢山ある。また専門学校的な公立大学や短期大学も沢山存在し、それらの授業料は比較的安価に設定されている。但し、勉強しない生徒は落第や退学になる厳しさがある事を付け加えたい。

出身地による授業料の差別化

先に述べた様に、東京都には人口比での国公立大学の定員が圧倒的に少ない。そのため沢山の国公立大学の設置、または既存大学の定員の増加をする必要がある。また東京都では全国から学生が集まるため、全ての国公立の偏差値が高い。そのためトップクラスの成績がないと、東京及び近隣の国公立大学に進学できない状況で、誠に不公平である。

そのため、この格差の解消は必須である。しかし、地方に国公立大学を増やせばある程度学生は地元に残るが、東京等の大都会でも国公立を増やすと、結局都会に地方からより多くの学生が集まってしまう。それではなんの意味もない。この問題を回避する方法として、一つは地元優先の定員枠の設置であり、もう一つは授業料の格差がある。

この差別化は国立大学では難しいだろうが、地方自治体による公立大学では可能ではないだろうか。

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