05 圧し掛かる想い

「……そう。自分のために……、コツコツ薬を作っていたのね」

「はい。それで、リドリーさんの時は呼吸音がおかしく聞こえたので……」

そこまで言って、アンはハッとした。

(そうだ……。それで肺がおかしいのかな? と思って肺炎を疑ったんだ……。そして胸に耳を当てて……)

「すみません。ちょっと失礼します……」

アンはソフィーの胸に右耳を当てた。

「え!? ええ……」

戸惑うソフィーの身体の音を聞くと

(リドリーさんとはまた、音が違う……!)

と気付く。次にお腹、背中に回って身体の音を聞く。

「すみません。症状を聞いてもいいですか? どこが痛いとか、おかしいとか……。些細なことでもいいんです。それで、一度医者に診せたって聞いたんですけど、どんな治療を……?」

と、まくし立てるアンに、ソフィーは気圧されながらもゆっくりと考え、自分の身体の調子を答えた。その症状を聞き、アンは部屋のドアへ向かう。ドアを勢いよく開け、

「リドリーさん!」

と大声でリドリーを呼んだ。

「おっ、おう! なんだいアンさん!?」

「私の薬箱を!」

「おう、ここにあるぜぃ!」

最初はアンの大声にびっくりしたリドリーだったが、アンの力強い声に威勢よく答え、薬が入った木箱をアンに手渡した。部屋に戻ったアンは箱を開け、薬の入った陶器を複数取り出す。そして、お椀型の分厚い陶器に小さな匙で量った薬を入れていき、ゴリゴリと棒状のモノで混ぜた。

周りの者たちはそんな彼女の様子に気圧され、しんと静まり返った中、アンの作業音だけが不気味なほどに部屋にこもっていた。そして。おずおずと、アンはソフィーにお椀ごと差し出した──これでいいはずだ。自分の見立て通りならば……。

「こ、こ、これを……、飲んでください」

一連のアンの作業を感心して見ていたソフィーは、疑うことなくそれを口に入れ、白湯を手に持った。それを見たメリンダは

「ちょ、ちょっと……」

と、ソフィーを止めようとしたが、それよりも早く彼女は白湯と共に薬を飲み込んでいた。

「ンン~……。苦い!」

と感想を漏らしたソフィーに、まだ疑心を持つメリンダは

「苦いって……。毒じゃないのかい!? ソフィー、吐き出しな!」

と言って駆け寄った。すると、ソフィーは手の平を彼女に向けて制止させ、

「メリンダ……。あたしはこの娘を信じるよ」

と静かに、きっぱりと言い切った。そこまで言われたら彼女もそれ以上、何も言えなくなった。それからアンは、三日にわたってソフィーの看病をした。薬草入りの食事を作り、体力と精をつかせるため何度か森の小屋へ戻り燻製や塩漬けにしていた猪肉を食べさせた。

それを見ていたメリンダも、最初は監視のために見張っていたが、アンの手際に感心し、アンと一緒にソフィーの世話をするようになっていた。その甲斐あってか、日に日にソフィーの顔色は良くなり、みるみる体調はよくなっていった。