このような場合、値切られたことはほぼなく、「これしか予算がないから、これだけに収まるものを持ってきてください」と言われます。

きっかけづくりがうまくいき、ずいぶんといろいろな先生方と商売をさせていただいたなと思います。ほかの先生にご紹介いただくこともよくあります。そして、こうした信用が基礎となって、ネットワークシステムの導入・保守・管理という、大きな仕事につながっていったのです。念のために記しておきます。

秘書の方へまずアプローチしたのは、「将を()んと(ほっ)すれば()ず馬を射よ」が念頭にあったわけではありません。

コミュニケーションをとるためには、まず、相手の悩みごとを聞くことからはじめるのが最善だと、考えているからです。以後も悩みごとや困っていることを伺うという姿勢は一貫しています。

先生方が困っていることは、「紙の文章を素早くスキャナーで取り込んで文書管理をしたいんだけれども、どうしたらいいか」などといった、コピー機が主力商品のリコーの営業マンなら対処して当然のこともあれば、ネットワーク全体にかかわることや、他社の製品がなければ対処できないこともありましたが、それを丹念に聞き取り、対処の提案をこまめにしていったことが大きなビジネスにつながっていったのだと思います。