小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『ハロー、わたし!』 【新連載】 澤 幸希 クリスマスイブ。一緒に過ごす彼女もなく、予定のない僕に母親からある頼み事をされ… 「どうして小説を書きたいの?」友人に必ず聞かれる質問です。幼い頃体調を崩しがちだった私は読書が大好き。一番好きな本はジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』。主人公ジルーシャの屈託のない口調で語られるストーリーを読むたびに元気を貰いました。ロマンス小説にも共通する魅力がある、と翻訳を通じて気が付きました。純文学でも硬派な社会派の小説でもない、童話のようなサクセスストーリーは意外なパワーを持って…