私が入札で18連勝できた理由(ワケ)

顧客のニーズを知るコミュニケーションこそが重要

リコー在職中に印象に残っている出来事のなかで、最も重要で私が誇らしく思っているのが入札18連勝です。

取引先だった四国の国立大学が委託業務として公募した入札を勝ち取ったもので、その年度にあった入札のほぼすべてを落札しました。それだけの結果を残すことができた理由は、お客さんとのコミュニケーションがうまくいき、ニーズをつかむことができたからではないかと分析しています。

お客さんのニーズを知るといっても、真正面から単刀直入に、「なにをお求めですか?」と聞いて、スムーズに話が進むことはめったにありません。また、システム管理の責任者と話をできなければ、核心となるニーズをつかむこともできません。

そして、システム管理責任者の懐に入ることができたとしても、その組織の機構、特色、人員配置などについて無理解な営業マンに、重要な話をしてくれるでしょうか? 多くの営業マンは不勉強なままに飛び込んで撃沈することになるわけです。

私が「まず調べに行く」重要性を訴えたのは、ここにポイントがあります。たとえば、私の取引先だったT大学は総合大学。総合科学部という文化系学部もあれば、理工学部、医学部、歯学部、薬学部など理系学部もあり、ネットワークシステムは全学共通のものとは別に、学部ごとに構築されていることもあります。

つまり、学部によって異なる要求に応えるためには、学部それぞれにアプローチする必要があるわけです。

これに対して、N教育大学は教育学部だけの単科大学ですから、よりシンプルなアプローチが可能になります。N教育大学へ営業に通いはじめた頃、システム管理部署である「情報センター」に日参しました。

当時、その部署の係長、いまでいうリーダーの役割を担っていた渡さんという方に会うためです。最初にお目にかかったときのことは、いまでも鮮明に覚えています。

エンジニアもサブ営業も連れず一人でおじゃまして、グループウェア(コンピュータネットワークを活用した情報共有のためのアプリケーション)について、自分で学んだことをボソボソ話すと、相づちを打ちながら聞いていた渡さんがポツリ。

「よく勉強してるね。営業の割によく知ってるんじゃないの」

(認められた!)と思った瞬間でした。

ここで「営業の割によく知っている」という発言に注目してください。不勉強な営業マンがいかに多いかという事実を裏づける言葉です。