11月の時期には、作文も自分の思いを入れながら原稿用紙1枚近く書けるようになり、面接の練習では質問に応じての答えをとても上手に答えられるようになりました。

そのがんばりの成果が出て、Aちゃんは早いうちに推薦で高校入学を決めました。Aちゃんはもちろん、お母様も講師も皆で喜びました。そして私がもうひとつ感動したこと。それは他にいた一時はうるさいと言っていた生徒達の反応でした。

「Aちゃんはがんばって高校決まった」と私が話したところ、その生徒の中には県内のトップ校を目指す生徒もいましたが、その生徒達が、「あいつがんばったじゃない。おれ達も負けずにがんばろうぜ」と声を掛け合ってまた勉強を始めたのです。

こういった様子を見ながら、私は障がいが有るなしにかかわらず、人はがんばっている姿に影響を受け、その影響は自分自身の力を強くしていくのに働くと実感しました。Aちゃんをはじめ生徒から学ばせてもらったことでこの経験は忘れられない思い出です。

高校進学後、Aちゃんは顔を見せに来てくれました。高校生の制服を着て髪もきれいに結んだ姿に「こんなに立派に高校生になるんだ」と驚きました。

教室では毎年いろいろなことが起こります。でも開講した当時から、そして今も変わらないこと、それはこの教室に来ている生徒はどこの塾にも負けない「心がすばらしい子」達だということです。

成績の善し悪しで人を判断しない、困っている生徒がいると自分を差し置いてでも助けてあげる。たとえテストでちょっとミスしてしまっても、ちょっと雑にノートを書いてしまってもそれはきっと直していけること。心の優しさは生涯人を惹きつけるに違いないのです。

「皆その良さに自信を持って!」、私はそう思わずにはいられなくなるのです。