【前回の記事を読む】「秋、紅葉のきれいな季節です」公園のベンチに居るのはどんな人だろう?

家庭で実践!幼児期(3歳~ 8 歳)までの言葉がけ

幼児期に大切にしたい力は「考える力」と「自己肯定感」  園児担当 稲川頼子

「考える力」とは、やりたいと感じたことや自分で決めたことを、他人に頼らず自由自在に考えることです。「自己肯定感」とは、「私はどんな場所どんな状況でも、大丈夫。そこそこやっていける!」という楽観的な自信のことです。この2つの力はいずれも、ありのままの自分を受け入れ、好きになることが不可欠となります。

では、我が子が自分を好きになるために、家庭ではどのような対応を心がけたら良いのでしょう。

1 失敗した時こそ、教えるチャンス!

例えば子どもがジュースをダイナミックにこぼしてしまった時、忙しいとどうしてもイラっとしてしまいますよね。「こら、何やってんの‼」と頭ごなしに叱ったり、「あらぁ! 大変‼」と大人が慌てふためいたりしてしまうと、失敗はとっても悪いこと、今後決して失敗してはいけない、という認識になってしまいます。

そんな時は一度深呼吸をして、

「ジュースこぼしたの? じゃあ拭かなきゃね」

と言って【雑巾のある場所や拭き方を教えるチャンス!】と切り替えましょう。

子どもは「失敗したらその後処理をすることが大事」と学べ、失敗した意味が出てきます。今後、失敗を過剰に恐れることもなくなるでしょう。

2 「おだてる」のではなく、「認める」ことが大事

大人から見て子どもが望ましい行動をとった時に、歯の浮くような言葉を並べてむやみに褒めることを「おだてる」と言います。子どもは自分の意志とは別に、褒められたくて何度も同じ行動を繰り返しますが、大人が見ていない所ではやらない場合も多いです。「あなたががんばっていることはしっかり見ていたよ」と認め、「あなたの行動で周りの人が助かったよ、ありがとう」と言葉や態度でしっかり伝える方法が理想です。「自分で決めて行ったことが、認めてもらえた」と子どもは満足感を得られ、自信に繋がります。

この「自分で決めた活動」というのがポイントです。そして、誰かに褒められたいから活動するのではなく、自分がやりたいから活動するんだという自主性も育まれます。

3 家庭での会話に表現力向上の秘訣が隠されている!

車で子どもの送迎をしていて夕日がきれいだった時、皆さんはどうされますか?

「うわぁ見て! リンゴみたいに真っ赤な夕日だねえ!」

と私は我先に感嘆の声を上げてしまいます。幼児期の表現はまず真似をすることから始まりますので、知らぬ間に感じたことを恥ずかしがらずに表現できるようになります。

「この唐揚げ、肉汁ジュワーって! 美味しい!」

などごく簡単な感想表現の積み重ねで、会話が楽しくなり、子ども達の語彙力の幅も広がります。

以前に東大卒のお母さんが、2年生の子どもの

「救急車が走り去るとどうして音が変わるの?」

との質問に

「あれはドップラー効果っていうんだよ」

と教えていたのを見たことがあります。

当時は2年生にはまだ早いでしょう! と驚きましたが、疑問に思った時が正に学びのチャンスなんですよね。正解を答えなくても良いのです。

「わあ、すごいことに気付いたね! なんで音が変わるんだろうね、不思議だなぁ!」

と共感することで、認められた子ども達の感性は鋭くなっていくのです。