ナイスデイ通信は、2021年3月号で212号を迎え、かなりたくさんの利用者さまのライフストーリーが関係者や利用者さま同士に知られています。

長い人生を過ごしてこられた利用者さまはまさに山あり谷ありで、とても大変だったようです。当然のことながら世間で言うプライバシーに触れる内容ですが、そういう内容を載せても許される雰囲気がナイスデイでは、すでに醸成されていると言えると思います。

すでに打ち解けた集団が形成されています。俗世間の付き合いを超えた別世界の付き合いの中におられるのです。いわば聖域(サンクチュアリ)が形成されているといっても過言ではない状態になっています。

このライフストーリーがデモンストレーター的になって人生を語ることになっていたので、世俗的な価値観から解放されたTC的コミュニティが、「逆転の発想」から突然出現してきたのではないでしょうか。

流れ的には「逆転の発想」からあたかも自然に「救いの共同体」が形成されたような感じですが、このライフストーリーがこうなる下地を準備しておいていたからだと思います。ライフストーリーの章を読んでいただくと、納得していただけると思います。

このようにライフストーリーが下地となり、そのうえで、昨年から、逆転の発想と称して利用者さまの気持ちを主にして、利用者さまペースで介護し、少しでも良くなったことを見つけ、励ますようにしてきました。こうして温かい目を向けることによって、利用者さまは自分を取り戻し、人と協力して助け合うことの喜びを見つけられ、仲間を大切にしようと思うように変わられたのではないでしょうか。

苦しい状況に置かれている者同士として利用者さまはTC(治療共同体)的なコミュニティを自然の流れのように作られていったのではないだろうか、と考えています。

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