アルゼンチンのブエノスアイレスに公演にきたベジャールを訪ねて、1963年16歳のドンはブリュッセルまで行きベジャールに会った。

ベジャールの『自伝1』に書かれているらしいが、まだ読んでいない。ドンは不安でおどおどしながら、「バレエ団に空きがありませんか?」とたずねたそうだ。世界中のダンスファンが知っているドンとベジャールの運命の出会いだ。ネットで購入した雑誌のドン特集の写真を見ていると飽きることがない。

『ボレロ』に魅せられた人々の感想は、「野獣のようだ」、「ライオンだ」、「戦慄が走った」、「発散されるエネルギーの強さ」、「尋常でない妖気を感じる」、「本能的にほとばしるエネルギー」、などなどだ。

私の初印象は、「美しい、もう何から何まで美しい」であったが、雑誌の中でもう一人、私と同じ感想の人がいた。その人は言う。「これほど美しいものを見たことがない」と。

私は、下手なダンスをインスタグラムに投稿しているから、この年齢になっても自分が踊れるダンスを探して、インスタグラムとYouTubeをネットサーフィンする。

その中でAGT(アメリカズ・ゴッド・タレント)や、ワールドオブダンスなどを見る。AGTは、今でもアメリカンドリームは生きていると感じるほど、皆それぞれのびのびと自己表現する。その自由さはさすがである。萎縮しながら生きている日本の現在の精神風土とは似ても似つかない。でも、ずいぶん楽しんで見たから、もう見終わった感もある。

私自身にどんなダンスが踊れるか、といえば、激しくて体力を必要とする動き以外は練習次第では踊れるはずだが、現在のムーブメント(ダンス)の多様性には驚くばかりで、私は下手だし、ワンパターンだ。

だが、ドンに出会ってから私は変わった。ともかく毎朝『ボレロ』をモニターに映しながら踊ってみる。後半の激しい動きはついていけない。前半だって、下半身がなかなか安定しない。それでも日課としている。

もし1年間この日課を続けることができれば、インスタグラムに投稿できるかもしれない。もう、AGTもそのほかの世界中のダンスも探す必要がなくなった。何しろドンだけを恋する私なのだ。