6.看護とケア――看護ケア/ケア/ケアリングについての日本看護協会の解説

看護ケア、ケア、ケアリングの用語についての概念的定義については以下のように示されている。

概念的定義:看護ケアとは、主に看護職の行為を本質的に捉えようとするときに用いられる、看護の専門的サービスのエッセンスあるいは看護業務や看護実践の中核部分を表すものをいう。なお、「ケア」及び「ケアリング」とは同義語として用いられる。

さらに、社会的文脈のなかで「ケア」と「ケアリング」の解説が示されていた。

ケア:従来、身体的な世話を言い表す用語として主に使われてきた。身体的な世話により、対象者との相互作用が促進されたり、対象者の心身が安楽になったりすることから、「療養上の世話」もしくは「生活の支援」としてのケアに看護の独自性を見出そうとしてきた歴史も長く、看護職にとって重要なキーワードである。また、医療の中では、キュアに対して看護の特徴を際だたせるために、キュア対ケアという構図で用いられる場合もある。

ケアリング:(1)対象者との相互的な関係性、関わり合い、(2)対象者の尊厳を守り大切にしようとする看護職の理想・理念・倫理的態度、(3)気づかいや配慮が看護職の援助行動に示され、対象者に伝わり、それが対象者にとって何らかの意味(安らかさ、癒し、内省の促し、成長発達、危険の回避、健康状態の改善等)をもつという意味合いを含む。また、ケアされる人とケアする人の双方の人間的成長をもたらすことが強調されている用語である。

ここで、用語の解説においては「看護実践」についての概念的定義も示されていたので、ケアとの違いを知るために以下に示しておく。

概念的定義:看護実践とは、看護職が対象に働きかける行為であり、看護業務の主要な部分を成すものをいう。その組織化を意味する看護管理や看護職の育成を意味する看護教育という用語と比較すると、看護そのものに最も近い用語である。

以上は職能団体が示したもので、日常の看護ケア実践のなかでこれらの用語が使い分けられているという訳ではない。しかし、看護学について研究をする場合や他分野の学問領域との接点あるいは相違について考える上で、定義・概念的定義によって用語が示されておく必要がある。

〔まとめ〕ナイチンゲールの業績と看護の定義の内容から、現在の看護とのつながりについてまとめてみましょう。