2008年

『Bienvenue chez les Ch’tis ようこそ、シュティの国へ』

二〇〇八年三月九日と十六日、フランス全土で統一市町村議会議員選挙があった。このところテレビのニュースはこの選挙がトップニュースである。選挙特別番組も組まれている。

結果は、左派が大勝するのではないかという選挙前の予想ほどではなかったが、社会党を中心とした左派がサルコジ政権の与党である右派より優勢だったようだ。レンヌ市はもともと社会党が強く、今回の選挙でも社会党が勝利した。

この統一市町村議会議員選挙は市長や町長の選挙も兼ねていて、選ばれた議員のなかから互選で市長や町長が選ばれるのだそうだ。サンデンの社員でもこうした議員に立候補する人があるらしく、それも結構な数いるという。

当選した場合、会社の仕事はどうするのかと聞くと、「第一位に選ばれたら議員活動に専念しなければならないが、下位で当選した場合は夜か週末に開かれる会合に出席すればいいだけだから、会社の仕事と両立できるのさ」これは当選した経営企画のジャン=フランソワの言葉。

「だから会社の仕事に影響は出ないよ、ミネギシさん。なかには週一回休みを取って議員活動する人もいるけど」

「ええ?! いったい何人の社員が今回議員になったの?」

「それは個人の問題だから会社にはわからないよ。僕のように自分から話す人がいて始めて、ああ議員になったのかとわかるくらい」ということだ。この辺りは日本の事情とずいぶん違う。

話は変わり、そんな選挙期間中話題になった映画がある。「ミネギシさん、××という映画知ってる?」と経理のマリー=アニックから聞かれた。××のところが何と言っているのか解らない。「ここにタイトルを書いて」とメモ用紙を渡す。

「今、フランスですごく人気の映画よ」

「ふ〜ん、知らないなあ」

それは『Bienvenue chez les Ch’tis』という映画だった。直訳すると“Ch’tisへようこそ”という意味だろうか?

「わかった、観てみるよ」

日曜日、レンヌ市内の映画館に観に行ってきた。夜八時からの上映だ。少し前に行くと、シネコンの一番大きな会場だったが満員の盛況。一番後ろのすみにかろうじて座席を確保した。

う〜ん、こんなに人気なのか。映画が始まると、館内爆笑の連続。フランス語のわからない私ひとりが笑えない(くやしい)。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『ブルターニュ残照』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。