2008年

外国語同士

外国語習得能力は個人によって差があると言われる。私はこの能力が低いことを実感せざるをえない。

フランス人は英語やスペイン語、ドイツ語などを話せる人が少なくない。ある昼食時、隣り合った環境担当のエマニュエルに「何ヵ国語を話すの?」と聞いたところ、「英語、それにドイツ語そしてスロバキア語を少し話すわ、夫の仕事の関係で三年ほどスロバキアに住んだことがあるから」とのことである。う〜ん、うらやましい。私も「英語とフランス語を話すよ」などと言ってみたい……。

月に一回、サンデンの各欧州拠点を結んでテレビ会議を行う。イギリス、ドイツ、ポーランド、そしてフランスだ。画面が四分割され各所の出席者が映る。出席者はパソコンで共有のデータベースの資料を見ながら月次の報告をする。言語は英語である。

私にとって最も聞き取りやすいのが日本人の話す英語、次が日頃慣れているフランス人の英語だ。最もわからないのがイギリス人の英語。とにかくスピードが速く、流暢すぎて(当たり前だが)付いて行けないことが多く、往生してしまう。

フランス人の英語も最初は理解できず、話しているのがフランス語なのかそれとも英語なのかさえわからないほどだったのだが、最近はすっかり慣れた。この慣れはコミュニケーションの積み重ねによる。英語を話すにあたって各人の個性が出る。言葉の使い方に特徴が出るのだ。

“particularly, typically, normally”などの副詞がやたら多い生産管理のぺステル、“What I want to say is ……”など関係代名詞をよく使う品質管理のミッシェル、“furthermore, moreover, otherwise”など副詞を連発する経理のフィリップ、などなど。このようにその人の英語を話す上での癖がわかると聞き取りが容易になる。自分自身では気がつかないが、きっと私も癖が出ていると思う。

コミュニケーションは言葉だけでなく表情、しぐさ、態度、声のトーン、視線の動きなどその人の身体表現すべてが総動員され伝えられるという当たり前のことを改めて認識させられる。テレビ会議がもどかしく感じられるのは画面を通すこと以外に言葉以外のコミュニケーションの要素が伝わらないことが原因だと思われる。自分の英語能力の問題だけではないと思いたい。

いずれにしても英語能力が貧弱な私にとってはまず相手の言っていることを聞き取るのにものすごいエネルギーを要する。長時間の会議のあとはもうぐったりである。

日本語であれば適当に聞き流しても勘所さえ押さえればいいが、英語ではずっと神経を集中していなければならないからだ。かつその間、自分の質問や意見の文章を英語で組み立てなければならない。いやはや。