【前回の記事を読む】勇気は害である…孔子が弟子に語った「6つの教訓」とは?

仁の心

孔子の教えは、たくさんの人々に伝えられ、毎日のように弟子が増ふえていきました。そして、ついに三千人になりました。孔子は、三千人の弟子たちと、議論し、旅を続けながら、仁の本質について語りました。

「人にとって仁の心は目に見えないものです。しかし、たとえば私たちの生活を支えている水や火といった目に見えるものよりも、その価値ははるかに重要なのです。

水がなくては、私たちは喉が渇いて生きていけません。そして火がなくては、寒い冬を乗り越えることはできないし、温かい食事を作ることもできません。しかし、水や火は、私たちの生活を支えてくれる反面、同時に、私たちに害を及ぼしたりもします。たとえば、水は洪水をもたらしたり、川や海で遊んで泳いでいるときに、溺れてしまったりします。

火は、火災を引き起こしたりして、人が死んでしまったりもします。水や火は、その上手な使い方を身につけたとしても、災害をもたらしたりします。

しかし仁の心を身につけようと努力して、死んだ人はいないのです」