第一幕 くれない艦隊現る!

君はなぜゆうれい船が現れるのか理由を知っているか?

「一体何が起こっているんだ?」と三隻の駆逐艦の全乗組員が凍り付いた。

そして、それはアメリカ太平洋艦隊でも同様であった。

「What happened?(何が起こったんだ)」

「Why?(なぜ、弾が当たらないんだ)」とアメリカの艦艇の全乗組員たちも叫んでいる。

そうこうしていると、なぞの艦隊、くれない艦隊から攻撃が飛んできた。くれない艦隊は実体のない「ゆうれい」のはずなのに、飛び交う砲弾は実弾であった。

くれない艦隊の砲門は、重低音でうなりをあげ、「ズドーン」、「ズドーン」、「スドーン」……と撃ってくる。そして、くれない艦隊の砲弾は、一発撃つと、まるでクラスター爆弾のように複数個の砲弾が飛び散る。一撃で何隻もの駆逐艦を同時に沈めることができそうな威力だ。

さらに、戦闘は続く。

「三番艦ゆうぎり、くれない艦隊からの攻撃により船尾被弾、損傷の模様!」

「同じく三番艦ゆうぎり、機関室から出火、船速が艦隊全体のスピードについてゆけず、先に行ってくれ、との通信合図が来ています」

「続いて、二番艦あさぎり、船体中央部に被弾! 船体中央部の弾薬庫に飛び火した模様」

「二番艦あさぎり、および三番艦ゆうぎりから総員退避の指示が出ています」

すると、駆逐艦さくら長内艦長は、はっと何かを感じ取ったように、

「全艦戦闘中止せよ! ただちに要救助者の救命に当たれ!」と指示する。

一番艦の駆逐艦さくら自体も、船首部および船尾部にあった主砲二門が、くれない艦隊とアメリカ太平洋艦隊の両方からの砲撃で被弾、大破し、船体はボロボロになっていた。

そして、いざ帰還となり、主機関を全速力にしても航行状態が不安定になっていた。