ちなみに、Eコマースの伸長によるデジタル書籍やブック宅配便の加速により、国内の本屋さんの数が急激に減少しているが、正に日本人の国語力の低下を懸念する。実際に、読解力の国際学力調査でも、台頭する中国にボロ負けの由々しき事態である。残念ながら、日本の国際競争力のダウンに直結する。

そしてリビングルームには、親が読書中の書籍や日本経済新聞を、あえて見えるように置いておく。すると子どもは、目を惹かれた親の本を手に取り、興味津々の(てい)で勝手に読み始めるのだ。読書は、ごく当たり前の日常のひとこまであることを演出する。

その人がどんな書籍を読んでいるのか、人物に関心をもつようになるはずと考えた。本に囲まれた生活は、心が豊かになる。

本との出会いは、歴史上の超人・偉人との時を超えた運命的な出逢いである。努力の証明書を有した努力家たちの凝縮された人生の集大成に肉薄でき、未知の世界へといざなわれる。

また、偉業を成し遂げた先達から溢れ出る生命エネルギーに魅了され、世界観を共有できることもうれしい。読書のなかでさまざまな仮想体験をすることは、日常生活ではあり得ない想定外の気づきを得られ、実際の経験をすることに等しい。人間の骨格は、読んだ書籍の量と質でつくられるのだ。

歴史学に興味を示し、歴史研究をされている学識者や著名人が多いのも頷ける。本の語源は、太い木の根であるそうだ。これほど、子どもの地頭力と人間力アップのための、コストパフォーマンスに優れたすばらしい媒体は、身近には存在しない。

幸い日本には、すばらしい書籍が豊富に貯蔵されている。万人に与えられた膨大な文化的遺産を、大いに活用し、親子で夢の世界へ旅をしよう。

ちなみに子どもには、「いろんな先生方から勉強のテクニックを学んでね。君の父親は凡人だから、反面教師にしかならないからね」と、偽りなく正直に伝えてきた。

社会を垣間見る思春期に近づくと、父親のダメさ加減を情けなく感じ始め、反発が強くなる。その予防線を張ることも、良好な親子関係構築の一手段である。

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