当初から担当の諏訪MD(マーチャンダイザー)に加え、品質管理の佐東QCに対し、恭平が取引開始承認の礼を述べ深々と頭を下げると、対座した二人も起立して同じように礼を述べた。

「このたびはエンゼルスへの商品提供をご決断いただき、本当にありがとうございます。実は、広島地区への新規出店まで一年を切りながら、主力カテゴリーである米飯ベンダーが決まらず、正直申し上げて焦っておりました」

「焦るって……私は二年も前から納品のお願いをしていたんですよ。その時は、まだ出店の予定はないって、門前払いだったんですよ」

「申し訳ありません。その当時は御社以外に納品のお願いをしておりまして、そう申し上げる他なかったんです」

「そうだったんですか。因みに我が社以外って、どこの会社だったんですか?」

「はい、最初は五島食品さんに断られ、次に安芸駅弁さんに断られました」

「五島食品も安芸駅弁も、懇意にしていただいていますが、何故お断りになったんですか」

「さあ、何故でしょうか。きっと、コンビニエンス・ストアに対するご理解をいただけなかったのだと思います」

「棚から牡丹餅」の僥倖に感謝した恭平は、五島食品の五島社長と安芸駅弁の中山社長、そして万鶴の大泉社長、さらにはカープ信用金庫の村田支店長と土橋係長に心の中で手を合わせ礼を言った。

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