ロシアのプーチン大統領は二〇〇〇年の大統領就任以来一八年間権力の座にあり、その権力は皇帝並みだという見方もある。二〇一四年のクリミア併合は西側からはウクライナの領土を一方的に奪い取った侵略行為で国際法違反といわれるが、ロシア側の見方はまったく異なる。

クリミアはフルシチョフ時代にソ連内における帰属替えとしてウクライナの一部となり、ソ連が崩壊しウクライナが独立したのでロシアの手を離れてしまった。ロシアではクリミアはもともとロシアのものという意識があるのでクリミア併合ではなく「クリミア復帰」という言葉が使われることになる。

このような国民感情をバックに強いロシアの指導者としてプーチンの強権的な統治は国民に歓迎される。クリミア半島のケルチとロシアのタマニを結ぶクリミア橋の建設が進められ、クリミア半島をウクライナから切り離して実質的にロシアの一部とする一大国家プロジェクトが進む。

最近自動車橋が開通し、開通記念イベントではプーチンは同橋で自らトラックを運転して見せたという。同橋の開通で人や物の移動が容易になり、併合の既成事実も進むことになる。

一方二〇一八年三月、中国では全国人民代表大会は国家主席と国家副主席の任期を従来の二期一〇年とする制限を撤廃した。習近平は国家主席に全会一致で再選され、盟友の王岐山も国家副主席に選出され、ともに任期は無制限になり、盤石な習近平体制が確立した。

習近平政権は二〇一二年の発足以来「中華民族の偉大な復興」という目標を掲げ、中国の特色ある社会主義制度は偉大なる創造であり、人類の政治文明の進歩に貢献するという。厳しい統制の下で経済発展を実現した中国式の統治は、国内の混乱を嫌う国々の為政者をも引き付ける。

自由や民主という価値観よりも国家の安定を優先し統制を強める中国式の統治が他の国々でも模倣されつつある現実は、新たなグローバルスタンダードの登場と見ることもできる。そのような中国とロシアの連携も垣間見える。

※本記事は、2021年11月刊行の書籍『雑草のイマジネーション』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。