第一章 日本の原理は大自然の原理に合致する

一節 神の前の無私

神様の御前には「無私」で「心を込める」のが神道の神髄です。

学べば学ぶ程に、知れば知る程に、日本文化の素晴らしさ、物すごさ、奥の深さに感動します。外国人の来日が増加するにつれ、日本文化が世界に滔とう々とうと流れて広まり、「クールジャパン」と評価されているのはご存じの通りです。

本書は文化論ではありませんが、私に言わせれば、それは当たり前のことなのです。日本文化の本質は神道に起因し、原点は神道にあると思っています。

例えば、伊勢神宮をはじめ神様にご奉納する絵画、彫刻等々に、天下一流の作者でも作品には歴史的に絶対に氏名を入れません。

それに何も感じないのは知性の貧困です。神様の御前には、「無私」であり「心を込める」のみ、これが神道の神髄です。この精神が日本文化の素晴らしさの根底にあります。

それが「日本人の物づくりの原点」なのです。この蓄積が無意識ながら日本人の遺伝的原点であり、二千年の文化の精神的基点と申せましょう。これがある限り日本人は外国には負けないのではないでしょうか。

二千年前から今日に至るまで、日本は諸外国から歴史的に高く評価されています。その例を歴史書からざっと挙げてみましょう。

・『魏志倭人伝』二千年前の中国人の来日感想です。「(日本人は)盗まない、風俗は淫らではない、婦人は焼きもちを焼かない」

・孔子(紀元前五百年前の人)『前漢書』に「東夷とういの天性従順、日本に行きたい」

・『晋書』(中国正史の一、唐の時代、三~四世紀)「婦女は淫らではなく、嫉妬もしない」

・ザビエルの言葉(室町時代)「日本人は盗みの悪習を大変憎む」

・鎖国前の徳川初期、ロドリゴというスペイン人は日本の都市の清潔さ、食料が豊かなことを見聞して「日本に住みたい」

・幕末明治初期の来日外国人・フロイス宣教師は、日本の子供の聡明さに驚いて、それは親の躾しつけにあると見抜き、シーボルト(ドイツ人)は「日本は中国と類似性はない」と述べた

・阪神大震災の時、火事場泥棒がなく世界が驚いた

・東日本大震災。助け合いに世界が感動したこれらは全て、日本人の清廉性を外国では見られない特異なものとして驚嘆しているのです。